公開: 2026年2月10日 最終更新: 2026年2月10日 永続リンク
今回は縦書きに関する記事ということで(?)、記事自体も縦書きでお送りします。
私はモンゴル文字という専ら縦書きされる文字に関心があります。
モンゴル文字による「モンゴル」(なんと、縦書きなのだ!)
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モンゴル文字は専ら縦書きされ、更に日本語などと異なり行送り方向が左から右という事情から、サイバー空間上での実装がなかなか進んでこなかったという経緯があるのですが、近年はWebブラウザでwriting-modeを使った縦書きのためのスタイリングをすることで表示できるようになりつつあります。
しかし、現在に至るまで、アプリケーションレベルでのモンゴル文字の扱いが改善したとは言い難い状況が続いています。おそらくその一因は画面設計の難しさにあるのだと思いますが、自分の文字を書きたくても書けないという状況は解消されるべきです。いや実際にはモンゴル国や中国の内モンゴル自治区にはモンゴル文字を扱うアプリケーションもあるようなのですが、国際的に広く使われているアプリケーションやサービスにおけるモンゴル文字のサポート状況は今も限定的です。
現代我々が文字を、とりわけ交流のために書く場所というと、SNSが広く普及しています。しかし、著名SNS上でのモンゴル文字サポートもやはり限られており、モンゴル文字で交流したい方々は、渋々横書きしたり、モンゴル文字を書いた画像を共有したりされているようです。ちなみに、縦書きのスタイリングをしない場合、モンゴル文字は左から右に横書きされるのですが、行が反時計回りに九〇度回転する上に、行送り方向が逆になります。モンゴル文字ネイティブの方によると、この横書きの状態はかなり読みづらいそうです。
ともかく、国際的に使われているSNSでモンゴル文字の縦書きがサポートされると、モンゴル文字による日常的な交流が促進される可能性があります。ちなみに、特定の地域で使われているSNSとしては、例えば主に中国の内モンゴル自治区で使われているBainu (App Store)があります。しかし、日本など他の地域の人と交流するのは難しいようです。
とはいえ、多くのSNSは企業によって独自に開発されており、モンゴル文字の縦書きサポートをお願いしたりするのは簡単ではなさそうです。そこで、Mastodonへの実装を試みることにしました。MastodonはいわゆるオープンソースのSNSで、非営利団体が中心となって開発しており、ボランティアが開発に参加することもできます。また、Mastodonは世界中の様々な言語や文字のサポートを目指しており、モンゴル文字も例外ではないようです。そして私自身、Mastodonは度々使用してきましたし、以前から興味がありました。
そういうわけで、Mastodonにおけるモンゴル文字の縦書きサポートの計画を提出した上で、私がボランティアでMastodonのモンゴル文字サポートの開発を進めることにしました。そして先日、モンゴル文字サポートの一環として、投稿言語を「モンゴル語(モンゴル文字)」に設定した投稿で、モンゴル文字を縦に表示するようにしました。まだ安定版には反映されていませんが、Mastodonを開発する非営利団体が運営するmastodon.socialは、開発版が使われているため既に利用可能です。
今後は、モンゴル文字が縦書きで表示される場所の拡大と、CSS論理的プロパティと値による画面全体の縦書き対応の開発を進めていく予定です。もっとも、これらの作業は更に時間がかかる見込みな上に、そもそも達成できるかどうかも分からないですが、当分取り組む予定です。誰もが自分の言語と文字を自由に使うことができるようになることを願います。